新しい最高裁判事になるバレット判事の人物像が気になる。
エイミー・コニー・バレットがカルト信者という噂を聞いたけど、本当か?
を知りたい方へ。
バレット判事は熱心なキリスト教徒で、People of Praiseという宗教団体にも所属しています。この団体は何なのか、バレット判事の経歴と共にこの記事で解説します。
アメリカの最新メディアを参考にして書きましたので、日本語サイトには載っていない情報もあります。
エイミー・コニー・バレットの経歴
家族
バレット判事は、ルイジアナ州の七人きょうだいの家に生まれました。
父親はシェル石油の弁護士、母親は専業主婦。
ロースクールで知り合った夫と結婚し、七人の子どもをもうけました。
そのうち二人はハイチから引き取った養子、一番下の実子はダウン症候群を有しています。
夫も法律家です。ブッシュ大統領に任命され連邦政府の検事として働いています。
職業
ノートルダム大学ロースクール卒
ノートルダム大学ロースクール教授
2017年 第7巡回区控訴裁判所判事(トランプが任命)
2018年のケネディーアメリカ連邦最高裁判事の退任の際にも、トランプは彼女を候補者としていました。
トランプ夫妻&バレット判事とその家族です。子どもは6人しか連れてきていないようですね。
宗教
宗教に熱心な家庭に生まれました。
父親は教会の執事(deacon)を務めており、エイミー自身も熱心なカトリックです。
普通のアメリカ人家庭には見られない変わった点もあります。
両親、エイミー、夫が、「People of Praise」という宗教団体にも所属しているのです。
この団体はアメリカ人にもあまり知られておらず、カルトなのではないか?と噂されています。
バレット判事は2010年にこの団体支部の役職についており、熱心に活動していたことがうかがえます。
エイミー・コニー・バレット判事の評判
“SCOTUS-2020-.BARRETT-AMY-CONEY-5” by MicahStone is licensed under CC PDM 1.0
人物像
アメリカ国内でも「新しい最高裁判事はどんな人物?」という点に興味津々で、さまざまな評判が流れています。
リベラル系メディアは、
- Submissive
という表現を使っています。従属的で、自主性がないということです。
保守系メディアでは、子ども時代の友人などを駆り出して「暖かく、笑顔がステキ」といった女性らしさが語られている印象です。
People of Praiseとはカルトなのか
アメリカ人もよくわかっておらず、どんな集団なのか?カルトなのでは?と興味の対象です。
また、教団の男尊女卑的な教義も注目を集めています。
教団名は、訳すと「賞賛の人々」といった感じでしょうか。
People of Praiseはどんな教団か
ウォールストリートジャーナル誌「People of Praiseの真実」によれば、
- 1970年代に生まれた教団で、目的は全世界にキリスト教を広めること。
- アメリカ・カナダ等を合わせた会員数は1700人
- 右翼セクトだと批判されている。当団体は、自由な保守だと反論。
- 女性は「従属」(subjugate)するべきだと教え、女性メンバーは「侍女」(handmaid)と呼ばれている。
と報道されています。
会員数が少なかったり、新しい団体だったりする点は確かに怪しいと言えるかも。
なによりも男女の役割分担をきっちり分けるのが特徴的。こんなアイディアはもともとのキリスト教には無いし、だいぶ極端な考え方をするようですね。
People of Praiseの母体となったのは、カトリック・カリスマ刷新(charismatic renewal movement)運動です。
wikipediaによればカトリック・カリスマ刷新運動とは、
1967年2月、カトリックのデュケイン大学の数名の教員と大学生の修養会(観想会)を起こりとする。
ここで多くの学生が聖霊のバプテスマと呼ばれる神の霊を受けた。教授も、2・3週間前に聖霊のバプテスマを受けていたという。神の御業は、学生の祈りと使徒行伝、十字架と飛び出しナイフの学びによって、備えられていた。そしてノートルダム大学の大学院生と教授にも広がった。
2003年の時点で、世界の230か国以上の国々に広がり、1億2000人に及んでいる。
要は、大学生が「奇跡」を体験し、それを信じている集団ということのようです。
それにしても、世界230ヶ国もありましたっけ。
中絶についてのエイミー・コニー・バレット判事の意見
今後もアメリカで自由に中絶できるか、それとも中絶を禁止するかという点が、今アメリカ社会の大きな争点です。
この点についてのバレット氏の意見がとても注目されています。
これまでに中絶の判決を書いたことはありませんが、発言や経歴から強力な中絶反対派だと考えられています。
熱心なキリスト教徒からすれば堕胎は受け入れ難いもの。
過去に、
- 「中絶は、常に倫理に反する(always immoral)」
と語っています。
「常に」というのが大事で、どんな理由があってもダメ。たとえレイプの被害者であっても、妊娠した女性は産むべきという意見です。
2019年、アラバマ州で中絶禁止法が成立し、大きな論争を呼びました。この法律はバレット判事の上記意見に近い立場で、全ての中絶を禁止するという内容でした。
レディガガなど著名人が、
- 「中絶手術をした医師に、レイプ犯よりも重い罪を課すのはおかしい」
と反対しました。
ルース・ベイダー・ギンズバーグ判事がいた最高裁も「女性の権利を害する」と判断して、結局この法律は無くなりました。
しかし、バレット判事の就任によって、今後また中絶禁止法ができたときには最高裁で合法とされる見込みが高くなります。
≫アメリカ社会・BLM運動については「【レビュー】映画「13th」が暴く今でも残るアメリカの黒人差別」もどうぞ。
≫アメリカでバカ売れした前任者RBGのドキュメンタリー「RBG 最強の85才」。Amazonプライムで見れます。
参考文献
Trump Nominates Amy Coney Barrett to the Supreme Court | Time
Trump Nominates Amy Coney Barrett to the Supreme Court | Time
コメント