トランプ・オーガニゼーションと、同社CFOのAllen Weisselbergが訴追され、トップニュースで報じられています。
なぜこれが重大なのか。脱税疑惑を巡るこれまでの経過、トランプ自身は訴追されるのか?
この記事では、トランプ・オーガニゼーション脱税事件の展望を解説します。
なぜ大事件なのか:これまでの経過
答えは、今回の起訴によって、今後、トランプ個人が逮捕・起訴される可能性がとても強くなったからです。
トランプには現在、二つの犯罪容疑がかけられています。一つ目は昨年11月の国会議事堂襲撃事件。二つ目が脱税容疑です。
納税記録の提出を巡る攻防
検察庁は、2018年からトランプの脱税を捜査していました。
納税記録を見せれば潔白が証明できるのですから、検察庁は、会社と個人の納税記録を提出するようトランプに繰り返し求めていました。昨年には裁判所が納税記録の提出命令を出しましたが、トランプはこれを拒絶しました。
大統領選でも争点となった
バイデンと争った2020大統領選でも争点の一つとなりました。討論会ではトランプが「潔白だけど今は記録は提出できない」とはぐらかす姿を見せて不評を買いました。
NY Timesはトランプの納税についてスクープを出しました。
“I paid $38 million one year, I paid $27 million one year”
と、自分はたくさん税金を納めていると主張していました。
しかし同時に、
I don’t want to pay taxes. Before I came here, I was a private developer, I was a private business people. Like every other private person, unless they’re stupid, they go through the laws and that’s what it is.
私は税金は払いたくない。大統領になる前は民間のビジネスマンだった。バカでなければ法の目をくぐるし、そんなもんだ。
とも述べています。
トランプの納税記録が証拠となった
トランプは税金記録の提出を粘っていましたが、今年の2月下旬、最高裁が税金記録を提出するよう最終決定を下しました。
ついにトランプの納税記録が捜査側にわたり、今回のトランプ・オーガニゼーションとCFOアランの逮捕となりました。
これは明らかに第一段階に過ぎません。
トランプ・オーガニゼーションとトランプ個人の資産はごちゃまぜで、公私の境目がなかったとも言われています。
トランプが提出した納税記録は、会社の「クロ」を示していました。ならば、同じ証拠でトランプ個人の「クロ」も証明される可能性が高いとみるべきでしょう。
トランプは15年間にわたり綿密なスキームで税金逃れをしていたと見られています。大統領となった時も取締役を退任しようとしませんでした。
「大統領在職中に、まさに自分が率いる政府を欺いていた」と批判殺到しています。
アレン・ワイゼルバーグってどんな人物?
アレンの人物像
現在73歳。
Pace大学を卒業した1973年にトランプ父の会社に入り、それ以来50年近くにわたってトランプ一家に仕え続けた忠臣です。
1986年からはドナルド・トランプの元で働き、トランプ・オーガニゼーションのCFOを30年間務めています。
トランプの会社と個人資産の区別はなかったと言われています。トランプ・オーガニゼーションのCFOであれば、トランプの私的な金銭の流れも熟知していることになります。
元・義理の娘は現在検察側の協力者ですが、
His whole worth is ‘Does Donald like me today?’ It’s his whole life, his core being. He’s obsessed. He has more feelings and adoration for Donald than for his wife.
アレンの頭の中は「トランプは気に入ってくれたかな?今日は大丈夫だったかな?」ばかりだった。執着していた。自分の妻よりもドナルドトランプが大事だった。
と語っています。
容疑の中身は脱税に窃盗
- 2005年から、トランプ・オーガニゼーションの幹部に帳簿外の利益を与えた
- 176万ドル(約2億円)や家賃・ベンツ2台の収入隠蔽
- 脱税と帳簿改ざん、窃盗など合計15件の罪
176万ドルの内訳には、トランプ本人が署名して、アレン夫妻に渡した小切手が含まれています。アレンは、この小切手が存在しないものと偽りました。
トランプは「左翼が魔女狩りを続けている!アメリカを分断している!」と述べています。自分にも恩赦を出さなかったことを悔やんでいるかも知れません。
コメント