英語で見るオリンピック｜東京五輪はアメリカでこう報道されている

東京オリンピックについて、海外ではどう報道されているのか知りたい。そもそも興味を持たれているんだろうか？

あと三週間に迫った東京オリンピック。海外でもそれなりに注目されています。

しかしアメリカの報道を見ていると、関心を集めるポイントが日本と微妙に違っていることにも気づきます。

この記事では、東京五輪に対する海外の反応を、アメリカ在住者の観点からお伝えします。

東京オリンピックを知らない人が多い

悲しいお知らせですが、アメリカ人の大半は東京オリンピックが今年開かれることを知りません。

36% of U.S. adults were aware the next Olympics are slated for this summer, while 40% correctly identified Tokyo as the host city.　（出典）

オリンピックのホストが「東京」だと知っているのはアメリカ人の40％
オリンピックが「今年」だと知っているのはアメリカ人の36％
「試合を見る」と答えたのは61％

いつどこで開かれるのかは知らないけど、あるなら試合は見るよ

という感じでしょうか。外国に興味を持たないアメリカ人らしい結果です。

「選手が家族を連れて行けるか否か」に注目が集まっている

5月下旬、選手は家族や友人を帯同できないことが発表されて、選手やメディアから大きな不満の声があがりました。

Serena Williams

“Serena Williams vann sin första match i Båstad” by hd.se is licensed under CC BY-NC-ND 2.0

3歳の娘と一緒に行けないなら出場しない

と表明していたセレーナ・ウィリアムズですが、この決定を聞いて不参加を正式に決めました。

2000年から連続してオリンピックに出場していた記録が、東京五輪で途切れることになりました。

Kimberly Gaucher

カナダのバスケットボール選手キム・ゴーシェも、3ヶ月の乳児を置いて東京オリンピックに出るべきか悩んでいると表明しました。

Right now, I’m being forced to decide between being a breastfeeding mom or an Olympic athlete. I can’t have them both.
今、乳飲み子を抱える母親とオリンピック選手のどちらかを選択しろって要求されてる。どちらも取ることはできない。

Aliphine Tuliamuk

マラソン選手Aliphine Tuliamukは、4ヶ月の子どもを帯同できるよう要望を出しました。

メディアも

”Heartbreaking Tokyo Olympics Rules for Athlete Parents”

と、選手に寄り添う報道をしています。

（追記）予想外に反応が強かったことに驚いてか、組織委員会はこの決定を一部覆し、必要があれば乳幼児は帯同できることになりました。

子どもを連れて行けるかどうかが争点になるなんて、ちょっと日本ではありそうにない反応だよね。

選手のプライベートな人生も大事にされているんだと感じたよ。

有名選手の参加・不参加

有名選手が不参加を表明しており、「あの選手はどうするんだろう？」と、選手たちの去就が注目されています。

セレーナ・ウィリアムズ：金メダル4つを獲得したスターテニスプレイヤー。すでに欠場を表明しています。
ラファエル・ナダル：欠場を表明しました。”Listening to my body”「自分の身体の声を聴いて」と理由を説明しており、コロナが理由かどうかは分かっていません。
ナオミ・オオサカ：ウィンブルドンには不出場、東京五輪には出場します。

なぜ日本はオリンピックを中止しないのか？という疑問

How could the Games be axed?

日本が「中止したくても中止できない理由」は何でしょう。ワクチン摂取が進んでいないのにどうしてオリンピック開催というリスクを冒すのか、という疑問があるようです。

How could the Games be axed?　「試合を中止するにはどうすればいい？」
axe (ax)：「斧」「～を斧で切る」。転じて「～を打ち切る、中止する」という意味の動詞。

日本のコロナ感染状況に関する報道

ワクチン接種が遅れていることについて、次のような報道があります。

With 100 days until the Tokyo Olympics, Japan has vaccinated less than 1% of its population. That’s a problem.
大会まであと100日しかないのに、日本は1％しかワクチン接種が進んでいない。（CNN・4月のニュース)

ワクチン接種は2月に始まったばかりで、まだ8％しか接種できていない。先進国では最も遅れている（BBC・6月末のニュース）

こんな状況で、世論調査で8割が反対なのにどうしてオリンピックを開催するんでしょうか。

中止したくても、中止する権利は日本にない

“International Olympic Committee President Thomas Bach” by Andy Miah is licensed under CC BY-NC 2.0

BBCは、IOCとホスト国との契約書を引用して次のように報じています。

There’s one article regarding cancellation and it only gives the option for the IOC to cancel, not for the host city. That’s because the Olympic Games are the “exclusive property” of the IOC (BBC)
大会中止については一つだけ条項があって、中止する権利はホスト都市ではなく、IOCにだけ与えられている。オリンピックはIOCの「排他的財産」だからだ。

IOCだけが大会を中止することができるから、東京は中止したくてもできないのだそうです。

IOCが中止するにも条件があります。

the IOC has reasonable grounds to believe, in its sole discretion, that the safety of participants in the Games would be seriously threatened or jeopardised for any reason whatsoever
「試合を開催すれば、参加者の安全が深刻な脅威にさらされる」と、IOCが判断したときだけ、中止できる。この判断は、合理的な根拠に基づいていなければならない。

中止できるのは大会の「参加者」の安全が脅かされる場合だけです。しかも、この状況にあたるかどうかはIOCの裁量で、IOCが決めます。