お金が貯まらない・・・どうやったら貯金できるんだろう。何を変えればいいんだろう。
いつも損してしまう。無駄なモノを買ってしまう。どうやったら賢くお金を使えるようになるんだろう。
ファイナンシャル心理学を学べば、このような疑問に回答が出ます。
ファイナンシャル心理学(Financial psychology)は、海外で生まれた新しい学問領域です。お金に対する個人の心理的バイアスを明らかにして、お金と合理的に付き合うことを目指す、個人心理学です。
この記事では、ファイナンシャル心理学とは何か、お金を貯められない心理的バリアーを紹介します。
ファイナンシャル心理学とは
“car-finance-after-GFC” by natloans is licensed under CC BY-ND 2.0
人の行動を分析して、経済的な意思決定における心理的な障壁を明らかにする学問です。
つまりどういうこと?
買物や投資など、私たちがお金について決断するとき、無意識のうちに「心理的バリア」が働きます。心理的バリアとは、自分の考え方の癖のようなもの。このバリアのせいで、合理的な判断ができなくなっています。
自分がどんなバリアを持っているかが分かれば、自分の判断を客観的に見なおし、合理的に修正していくことができます。
自分がどんなバリアを持つかは、親に影響を受けます。大まかに、「お金崇拝」タイプと、「お金は汚いもの」と考えてお金を避けるタイプに分かれます。
ファイナンシャル心理学を学ぶメリット
- いつも損する理由が分かる
- 投資のリターンが上がる
- 自分がお金をどう捉えているのか分かる
- 自分のお金に対する偏見が分かる
- 自分の行動を客観的に見直し、失敗から学習できるようになる
お金に関する心理的障壁の6タイプ
心理的バリアーは6つのタイプに分けられます。フィナンシャルタイムズ誌によれば、ほとんどの心理学者が同意する分類ということなので、参考になると思います。
ひたすら貯める人 The Hoader
必要以上に貯める人。
低金利だったりインフレで明らかに投資するべき時代でも、ひたすら銀行預金を積み上げるだけです。必要以上に倹約したりします。高齢でも特に目的無く収入のほとんどを貯蓄している人は、このタイプかもしれません。
リスク回避型の性格。幼少時にいつもお金の心配をしていた家庭で育った人などにも見られます。日本人には結構多いタイプだと思われます。
自分の貯蓄方法についてファイナンシャルアドバイザーに相談してみると、目が開かれるかもしれません。
消費社会に踊らされる人 The social value spender
自分が価値を見いだしているからではなく、みんなが欲しがっているという理由で買物をします。
自尊心が低めのタイプ。お金を使うときに店員がちやほやしてくれる感覚や、プレゼントすることで相手に見放されないという安心感を買うために支出します。
女性であれば服をたくさん買う、男性であれば高級時計などステータスシンボルを買うというのが典型例です。
いきすぎると買物依存症になります。また、借金の問題を抱えることも。
借金から抜け出すには、まずは今の状況を誰かに打ち明けることです。親しい友人がいなければ弁護士へ。人の助けを借りながら立て直していきましょう。
お金をばらまく人 The cash splasher
自分の価値を証明するためにお金を使う人です。
他人の目につく形でお金を使う傾向があり、レストランで席に着くなり「今日は自分のおごりだ」と言ったりします。
自尊心は低め。実は「消費社会に踊らされる人」に近いタイプです。
お金を使う目的が自分を誇示することなので、いくらお金を使っても幸せはなりません。
自分を幸せにするためにお金を使うことを覚えると変わります。「どう見えるか」は忘れましょう。ささやかな行動が自分を幸せにすることに目を向けるとよいでしょう。
心配性の投資家 Anxious Investor
論理ではなく感情で投資取引を繰り返すデイトレーダー。高値掴みの安値売りで損をします。
リスク愛好家。自信過剰で、取引で放出されるドーパミン中毒になっていることがよくあります。
取引の前にルールを決めることが非常に有効です。感情で動かないこと。何%下がったら売るか、何%上がったら売るか、この取引は長期か短期かを、取引の前に決めておくことです。
投資に際してルールを決める重要性は、元ウォールストリートのトレーダー高橋ダンさんの意見が参考になります。
さらに深めたければ著作「世界のお金持ちが実践するお金の増やし方」をどうぞ。
お金の管理マニア Fitbit Financier
栄養を管理するアスリートのように、ガチガチにお金を管理する人です。クレジットカードのポイントにこだわったり、予算をきっちり計画します。
管理自体はすばらしいですが、行き過ぎるとわずかな節約のために多大な時間と労力をかけたりします。目的と手段が逆転して、お金以外の人生を犠牲にしてまでお金を最適化しようとします。
根底には、予測できない出来事に対する不安がある場合があります。
不安感を認めること、お金の長期的な目的を決めるのがよいそうです。「お金を管理するのはその目的のためでしかない」と意識できるため、過剰に労力を割かないようになるからです。
見ないふりをする人 The ostrich
銀行の明細書は読まず、お金の管理を一切放棄する人です。
お金に対する不安が強すぎて、恐怖に直面することを先延ばししてしまっています。虫歯があると分かっているのに、歯医者に行かない人と同じ心理状態です。
自分で直面できないなら、税理士やFPなどの専門家に丸投げするとよいです。
まとめ
以上、ファイナンシャル心理学の基本をお伝えしました。お金に対して無意識に抱いているバイアスを明らかにすれば、自分の行動を客観的に見て、合理的に修正することができます。
まだ新しい学問なので、日本語の本や教材はありませんでした。探してみたところ、CourseraのBehavioral financeコース(デューク大学)がこれに近そうです。英語ですが、無料なので深めたい方はチャレンジしてみてください。
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